東方SS書きである紅雨霽月のブログです。
東方やらラノベやらフリーゲームやら日常のことやらジャンルにはあまり捕らわれてないです。
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右手でナイフを掴んで、その鋭い切っ先を右手の人差し指に当てる。
そのまま、ナイフで指をなぞる。
鋭い痛み。けど、鋭い刃が離れた途端に、じくじくとした痛みと熱へと変わる。
切り傷からは赤い赤い血が滲んできていて、指の先で赤い珠を作り出している。
徐々に大きくなっていく血の珠。
けど、際限なく大きくなっていくことはありえない。
大きくなりすぎた珠は、その形を崩して、赤い水滴を床へと落とす。
一度、水滴が生まれると、後から後からそれに続くように赤い水滴が落ちていく。
床に形成される歪な赤い円が次第に大きくなっていく。
それを、私はただただ見つめているだけだった。
少しずつ、少しずつ大きくなっていくそれを虚ろに、見つめるだけだった。
けど、次第に落ちていく水滴が少なくなっていって、ついには止まってしまう。
これでは駄目だ、と心のどこかが思う。
だから、今度は手のひらでナイフを滑らせる。
先ほどよりも、力を込めて深く深く傷を作る。
想像していた以上の痛さに顔をしかめ、傷を押さえそうになる。熱を持ったように傷が痛む。
けど、それをぐっと我慢して、赤い円へと再び赤い水滴の供給を始める。
大きくなる、大きくなる。
こんなことをするのに意味なんてない。
止まらない、止まらない。
ただただ、大きくなっていく円を見ているのが面白いだけ。
赤い、赤い。
飽くことなく見ていられる。
痛い、痛い・・・。
でも、傷は暖かい。
もしかしたら、私はこの赤い円を、焔に見立てているのかもしれない。
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